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日本と中国の友好を願って活動する日本中国友好協会玄界灘(宗像・北粕屋)支部

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2010・6月5日号1面
2000年の歴史をもつ健康管理法
  中国漢方のエッセンス

 中国漢方(中医学)は2000年の伝統をもつ奥深い医療として、日本でも評判になっています。その真髄や効用について、この道の専門家、陶惠寧さん(日本中医薬研究会専任講師)に今号から月1回の連載で詳しく語っていただきます。(次回から本紙4面掲載)

陶惠寧(とう・けいねい)さん

 1962年生まれ。84年南京中医薬大学中医学部に入学。卒業後、病院勤務を経て、広州中医薬大学大学院に進学。89年医学修士課程を修了、北京針灸骨傷学院(現「北京中医薬大学」と合併した)に配属、中医学の教育と臨床診療に従事。97年留学のため来日、02年順天堂大学大学院で、医学博士学位を取得。その後、同大学医学部で中医学の研究と講義を担当。現在、日本中医薬研究会の専任中医学講師として、中医学の教育と普及に従事。

「未病」

 およそ2000年前に記された中国最古の医学専門書『黄帝内経(こうていだいけい)』に「未病」という用語が使われている。「未病」って、何だろう。
 『黄帝内経』に「聖人不治已病治未病」(聖人は既病を治すのではなく、未病を治す)という記述がある。「既病」に対して、「未病」は発病していない状態を言う。
 具体的には次の四つの状態である。
 ①病気になっていないが、一部の症状がある状態(例えば、「元気がない」、「やる気がない」、「食欲がない」など)
 ②病気の前兆症状(雨にぬれた後の寒気・頭痛など)
 ③病気の初期、あるいはまだ進んでいない状態(風邪の初期、悪寒・発熱、くしゃみ、鼻水など)
 ④病気が治った後、再発していない状態(緩和期の喘息の患者など)
 「のどが乾いてから、井戸を掘りはじめる」、あるいは「戦争が起きてから、武器を作り始める」のでは、すでに遅すぎるのではないか。「未病」の対策は症状がまだ出ていない、あるいは進んでいない段階で、前もって行わなければならない。これが『黄帝内経』の基本的な考えである。
 『黄帝内経』にいくつかの未病対策があるが、その重要な一つが漢方薬での養生である。

漢方養生

霊芝
 東京の御茶ノ水駅近くに湯島聖堂がある。聖堂の奥にある神農廟に祀られている神農は、中国で漢方薬学の元祖とみなされる。彼の名がつけられた『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』は約2000年前に完成した中国最初の漢方薬専門書である。
 『神農本草経』には、365種類の生薬が収載されており、上品(じょうぼん)、中品(ちゅうぼん)、下品(げぼん)に分類されている。上品は、無毒で長期服用でき、摂生・養生・延年(延長寿命、老化防止)の効能がある。中品には養生の効果はあるが、毒もあり、病気の治療効果もある。下品は治療効果はあるが毒が強くて、長期服用には適さない。
 この書中に記載された、元気をだす人参(高麗人参)、むくみをとる茯苓(ぶくりょう)、血行を良くする水蛭(すいてつ)などの漢方生薬が今でも使われている。
 例えば、霊芝の効能は、『神農本草経』には「久食、軽身不老、延年神仙」(長期間摂取すると、身体を軽くする、神仙のように不老長寿できる)と記載されているが、最近の研究によると、霊芝は神経系・呼吸器系・循環器系の機能の調節作用があり、免疫調節・フリーラジカルの消去・代謝の平衡などの効果によって人間の老化スピードを緩和させる影響を与える。
 漢方養生とは、これら中国の生薬を用い、中国漢方(中医学)理論にもとづいて、「体質改善」、「延年益寿」(長生き・アンチエイジング)、「疾病予防」、「疾病治療」の効果を果たすことである。

「扶正」と「示去邪」

 さて、中国漢方で、どのように養生するのか。簡単にいえば、「扶正(ふせい)」と「示去邪(きじゃ)」(※「示去」で一文字)との二つの方法がある。
 「扶」には「高める」・「補う」・「養う」などの意味があり、「正」はすなわち「正気(せいき)」で、人間の免疫力、抵抗力、自然修復能力、エネルギーなどをさす。これらが不足(「正虚」)する場合、足りない部分に応じて、補足することを「扶正」という。
 「示去」には駆除・除去などの意味がある。「邪」はすなわち「邪気」で、細菌・ウィルスなど病気を引き起こす病因を指す。何らかの病因によって引き起こされた病理変化も含んで、「邪気」という。病因あるいは病理産物に対する治療を「示去邪」という。
 中国漢方では、病気の発症は、この「正」と「邪」の攻防の結果によるものと認識している。特に「正虚」(抵抗力・免疫力不足)の場合は、「邪気」(病因)に少しでも犯されると、すぐ病気になる。
 風邪などの病気がまだ起こっていない段階で、「体質を高める」、「邪気(病因)を駆除する」漢方を服用することは未病治療の一つであり、すなわち「漢方養生」である。
 体質のほかに、季節の素因も考えなければならない。そろそろ、梅雨に入るが、漢方でどのように対応すればいいのか、次回、「梅雨時期の漢方養生」について細かく説明しよう。
 (次回以後は本紙4面)

(漢方についての問い合わせ先) 日本中医薬研究事務局 
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